Professor2人募集らしい

明日から、私と植物学科のもう一人のProfessorとで南米コロンビアの会議に出張である。
学科長が言った言葉:
「Professorを2人募集する準備をしておいたよ、撃たれたときのために。」


コロンビアは、そこまで危なくないと思っているのだけど。
一見まじめなスイス人も、こういうジョークをいうらしい。

日本人会報

チューリヒ日本人会の冊子「エーデルワイス」が送られてきた。冊子名はべただという意見もあろうが、内容がいい。

最近中国でも日本語を勉強している人が増えているらしい。
中国人向けの日本語試験とその回答例


問「あたかも」を使って短文を作りなさい
     答「冷蔵庫に牛乳があたかもしれない」

問「どんより」を使って短文を作りなさい
     答「僕は、うどんよりそばが好きだ」

問「うってかわって」を使って短文を作りなさい
     答「彼は薬をうってかわってしまった」

あまりに面白いので引用してみた。
豆知識:魚のドイツ語なども使えそう。遠足やバザー情報もあったが、ちょうど出張中で残念。

どこまで査読しよう?

論文の査読が次から次へ来る。さらに、投稿前の論文をチェックしてほしいという依頼も多い。英語も日本語も両方来る。


論文が出るころには、分野内ではもうみなが内容を知っているもので、投稿前チェックには、情報収集の意味合いもある。基本的に論文を読むのは好きで、だからこそ研究者をやっているのだが、最近こうした仕事直接の論文とその参考論文に手一杯で、面白そうな論文をさがして読む余裕が少ないのがさびしい。


学会で情報を収集するのがまず一番だが、そういつも学会があるわけでもない。最近は、電話が便利だと思っている。たとえば、ちょっと違う分野のイギリスのT君と話したときには、http://d.hatena.ne.jp/mahoro_s/20060823 の論文ほかいろいろ情報交換。アンテナに入っているブログもかなり便利だ。
http://dolphin.c.u-tokyo.ac.jp/~t-tsu3/w/wiki.cgi?page=%C6%FC%B5%AD



隣のポスドクが「全部rejectにすれば手間なく早いよ」とアドバイスをくれたが、そうも行かないよなあ・・しかし、世の中にそういう理由のrejectはそれなりに存在しているだろう。現在の科学には論文査読よりよいシステムは考えがたいし、そうである以上科学者が査読に相当の時間を費やすことになる。NatureのEditorが講演に来たときに、優秀なReviewerのリストを作るのは欠かせないが難しい、と言っていた。よい雑誌の査読は、正しい正しくないなどということが問題でなく、生物学の大局の中で意味があるかどうかを判断する必要があり、それができる研究者はそう多くない。


個人的には、できるだけレスキューして論文の質を向上させたいものだと思っている。学生のころにはじめて査読したときは、本当に時間をかけた。その結果AcknowledgementにWe thank anonymous reviewers for helpful discussionsなどと書いてくれてくれたのを見てうれしくなったが、今はさすがにそこまでできない。


投稿前チェックは面白いものが多いが、査読は段落ごとに論旨が一定しないような、読むのが苦痛なのもまわってくる。今回の査読は、前から読まなくてはと思っていた古い論文と関連していたので、これを機会に読んでみた(どの論文とはここでは言えないけど)。こういう場合はいいですね。

植物園のVillaと葉脈パターン

Shimiken2006-08-21

ドイツからYK君が合流して、研究所と植物園を案内する。歴史的にこの地域は、いくつかの裕福な家系が所有する庭園だったらしい。税金が高くなって、庭園が大学に寄付され、植物園と植物研究所がつくられたという。その名残の1つが写真のヴィラVilla。語源は古代ローマの荘園で、裕福な住宅を指す。今は内部が工事中で、そのうちコンピュータ部屋を使える予定である。ヨーロッパの大学の伝統と余裕を感じるところである。そういえば、ニューヨーク州のコールドスプリングハーバー研究所も別荘のようだった。


発生学者Uさんは、写真のフィットニアをみると、「染色しなくても葉脈パターンの研究ができる」と。そして、メリステム(分裂組織)を求めて徘徊している。


駅へ送る途中、シュプリングリというチョコレート店の二階が喫茶になっていることをYK君が教えてくれて、さっそく入る。パフェもケーキもおいしく、よい締めになった。

ディスカッションの合間に旅行

Shimiken2006-08-20

ケーブルカーで標高3500mの雪の世界ユングフラウヨッホへ。麓は雨だったのに、登ってみればメンヒ山とユングフラウ山の頂に陽が差してきた。さすが晴女たちのパワーに感服する(雪女でなくてよかった)。


高校の地図帳に氷河の写真例として載っているアレッチ氷河を見ることができた。手前がカール氷河、筋が入っている奥の方が谷氷河らしい。こう見ると、「かわ」であることが感じられる。先月に南側を通り抜けたが、採集が忙しくて展望台に行く余裕がなかったのだ。右側がユングフラウ山。なぜ茶色の岩の筋があるのかと聞かれてもわからなかったのだが、こんないいサイトがあった。
http://unit.aist.go.jp/georesenv/gw/photo_alps.html


何が面白いのか、何を研究すべきか、といった熱いディスカッションが何時間も続くのは、京都の学生時代と変わらない。食事中や運転中に2,3本の論文の計画ができたような気がする。新しい研究室をはじめて抱負は何か? と直球の質問を受けた。振り返ってみれば、目の前のことを1つ1つ処理するのに手一杯だ。これは宿題としてしばらく考えてみよう。広く言えば、この世になぜこんなに多様な生物がいるのかを少しでも理解したい、かな。やはり思うのが、ここまでの深さの議論は母語ならではだ。

ハイジツアーと突然変異体を見る目

HeidiButterfly

スイス観光といえばハイジ。アメリカから来てくれたSさんとドイツのUさんのたっての希望で、ハイジの里マイエンフェルトに出かけた。ドイツからは、ドイツ語の堪能なIさんが友人とともに来てくれた。レストランも宿も全てが順調に進み、ドイツ語をがんばらなくては、と思う。


Heidihouseなる博物館に入った。さすがSさん・Uさんともハイジの予習はばっちりで、「ハイジの部屋のこのベッドの配置はおかしい」とのご指摘が。ベッドは外が眺められる窓と接していなくてはいけないらしい。


ハイジが走っていそうな草原にはクローバーがいっぱいで、四つ葉を探し始めた。すると、他のだれも見つけないうちにUさんが次々四つ葉、五つ葉を発見する。自分で電波出してミュータントを作っているでしょう?という突っ込みは私だけでなかったので許してもらうとして、変異体発見マスターの称号をお贈りすることにした(この例は可塑性かもしれないけれど)。パターン認識能力が卓越しているのだろう。Uさんにはやはり遺伝学が似合っている。突然変異体のスクリーニングには、論理的計画に加えて、何か必要なセンスのようなものがある。我々は、京都で指導教官を見ていたからこそ学べたのだろう。


マイエンフェルトからは、グラールス州のクラウゼン峠へ向かう。昆虫少女Sさんと山へ来ると、見ているものが全然違って面白い。Sさんには京都の頃に昆虫網の使い方から教えてもらったのである。写真は、タテハチョウの一種らしい。キク科Adenostylesの葉上では、無数の甲虫もみられた。

種子注文

前々から、シロイヌナズナのストックセンターに種子を注文しなくてはと気になっていた。研究に欠かせない材料であり、この数年、気軽に注文していた。

しかし、新しい研究室となると簡単でない。まずは、TAIRウェブページ www.arabidopsis.org に研究室を登録して、支払い先を指定する。その上で、研究室メンバーとして自分が登録される必要がある。これがうまくいかない。エラー表示が立て続けに出てくる。仕方なく、管理者にメールを出しておいた。すると、かなり素早く返事が来た。研究室の登録の場合は、誰かがチェックするまで待つ必要があったようだ。それならそうと書いてくれればいいのだが、果報は寝て待てというものかもしれない。
自分の研究費で支払うとなると、値段も気になりだす。それぞれ安いと言えば安いが、必要な数が多いので、かなりになる。
登録から注文まで1人でやるというのが、研究室立ち上げ期のPIの仕事というものである。