アグロバクテリウムも共生系をつくる

植物研究所には微生物の研究室もあり、今日のセミナーではIndiana UniversityのClay Fuquaから微生物学microbiologyの面白さを改めて学んだ。


An D, Danhorn T, Fuqua C, Parsek MR.
Quorum sensing and motility mediate interactions between Pseudomonas aeruginosa and Agrobacterium tumefaciens in biofilm cocultures.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Mar 7;103(10):3828-33

ついでに、少々古いが
More MI, Finger LD, Stryker JL, Fuqua C, Eberhard A, Winans SC.
Enzymatic synthesis of a quorum-sensing autoinducer through use of defined substrates.
Science. 1996 Jun 14;272(5268):1655-8.


微生物の世界では最近、バイオフィルムbiofilmと呼ばれる膜状の共生体の研究が盛んだという。複数種が種内・種間のシグナル伝達を介して成長していく。ヒトの病原菌もたいていbiofilmをつくっているらしい。


微生物として植物研究者がよく使うのは、大腸菌E. coliについで、遺伝子を導入してくれるアグロバクテリウムAgrobacterium tumefaciensである。トランスジェニック植物作成の道具としてはよく使うが、その生態はほとんど知らなかった。まず、土の中にはどこでもいる普通種らしい。そして、植物の根などの表面で、膜状のバイオフィルムを形成しているという。さらに、鞭毛で泳いで移動しながら広がっていく。


質疑応答で、シロイヌナズナ以外の種への遺伝子導入技術の可能性について聞いてみた。アグロバクテリウムでは多くの突然変異体がとられていて、例えば酸素系の突然変異体では遺伝子導入効率が高いという。こういった系統をつかっていくのが一つの解決策になるかもしれない。